すべての世界で、キミのことが好き❤~告白相手を間違えた理由
「悠真くん、大丈夫?」

 桃音ちゃんが悠真に声をかける。

「うん。大丈夫」

 無表情で彼は答えた。具合悪いのかな? いつもと違ったけれど、大丈夫って言っていたし、気にはなったけど、そっとしておいた。

 学校の話をした後、桃音ちゃんが恋の話を始めた。

「悠真くん達は、好きな人いるの?」

 わっ! 桃音ちゃん、積極的!
 私は絶対そんなの、陸くんに聞けないなぁ。

「僕は……好きな人はい…。あぁ、彼女が欲しいな」
 
 始めに陸くんが答えた。
 ん? 今、質問の答えなんか、はぐらかした?
 彼女は欲しいんだ?

 あぁ、はぐらかした部分、すごく気になる!

 陸くんを見つめていたら、陸くんもこっちを見てきてばっちり目が合ったから、慌てて目をそらした。

「悠真くんは?」

「いるよ! 好きな人」

 悠真と恋の話をしたことはなかった。

 好きな人、いるんだ……。はっきりと答えたなぁ。誰なんだろう。同じ学年の子かな?

「えー、誰?」
「え、答えたくない」

 桃音ちゃんの質問を冷たく断る悠真。
 これ以上この話を出来ない空気になった。

 話題を変えて、SNSの悪口の話になる。

 自分のアカウントを開いて『桜岡中学校』を入力して、検索ボタンを押す。

 先生の悪口とか、学校が古臭くて嫌だとか、色々書いてある。

「なんか、学校の良いところ、書いてみようかな?」

 私は、春の桜が綺麗って書いてみようかなって、一瞬考えたけれどやめた。プロフィールはマロンだし、正体がバレることはないけれど、なんか私のアカウントが学校の生徒だってバレるの、怖い。

「私の悪口書かれた時、かばってくれた人、結局誰だったのかなぁ」

「あぁ、あれね! 知らない人じゃない?」

 桃音ちゃんが言った。

「きっとそうだよね。本当にあの時、見知らぬ人に私の心を救って貰ったんだもん。私もあんな風に、SNSのヒーローになりたいな」

「SNSのヒーロー! なんかいいねそれ!」

 陸くんが言った。



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