すべての世界で、キミのことが好き❤~告白相手を間違えた理由
結愛は幼なじみだ。
小さい頃は仲が良かった。
俺が彼女のことを “好き” だと意識するまでは。
意識するようになったのは、小学四年生の頃だったと思う。
うちは、両親が離婚していて、母さんとふたりで暮らしていた。母さんは毎日休む暇もなく働いていて、忙しそうで、遅くまで働く日も多かった。
結愛と俺の通う保育園が一緒だった繋がりで、母親同士の仲も良く、母さんが仕事で帰りが遅い日には結愛の家で一緒にご飯を食べさせてもらったりもしていた。
結愛が家族と楽しそうに話をしていると、突然心がズキンと痛くなる日があった。
なんだろう。今思えば、自分もこんな風に家族と沢山話をしたかったのかな?
家ではひとりでいることが多かったから。
その日はいつもよりも痛くて。バレないようにその気持ちを隠していたのだけど。
ご飯を食べ終えて、一緒にテレビゲームをしている時だった。
「大丈夫?」
突然結愛が眉を寄せ、なんともいえない表情で質問してきた。
「えっ? 何が?」
「なんか、いつもよりも元気の無い顔だったから」
気づかれないように隠していた気持ちに、唯一、結愛は気がついてくれた。
そしていきなり俺を抱きしめてきた。
「結愛はずっと、悠真の味方だからね!」
「えっ?」
「これね、私が寂しい時や泣きたい時、いつもお母さんが気がついてくれてね、こうしてくれるの」
胸が締め付けられて、鼓動が早くなる。
「あ、敵にやられる!」
このタイミングでゲームの敵が迫ってきて、操作していたキャラクターがやられそうになった。そんなことはどうでも良かったけれど、ドキドキした気持ちを悟られないように、彼女から離れた。それからゲームを再びやり始めた。
心臓の鼓動の速さはなかなか元に戻らなかった。
ゲームを終え、片付けを始める。
「さっきギュッてした時、元気になれた?」
ゲームソフトを片付けながら結愛は聞いてきた。
「う、うん」
俺は微妙に視線をはずす。
「良かった!」
彼女は、キラキラをまといながら可愛い笑顔で俺を見つめてきた。
――ドキッ!
ゲーム本体とコントローラーを持っていた俺は、思わずコントローラーをひとつ落としてしまった。
結愛に対しての気持ち、それが恋だと気がついたのはその時だったけれど、今思えば、もっと前から実は、好きだったのかも知れない。
――うん、好きだった。
結愛が人混みに紛れている時も、彼女だけが浮き出ているように見えて、すぐに見つけられたし、彼女が悲しい時には隣にいて寄り添いたくなったし、彼女が楽しそうにしている時は、俺も幸せだった。他の人に対しては冷たくて、そんな感情にはならないのに。
そして、独り占めしたいと常に思っていた。
今も――。
これからも当たり前に、仲良しのまま、ずっと一緒にいられるものだと思っていた。
けれど、結愛に対しての感情が恋なのだと強く意識してから、俺の態度のせいで、心の距離が少しずつ離れていった。
メールが来た時、怪しいとも思ったけれど、このままもっと離れてしまったら嫌だなって考えてもいたから、悩んだあげく、アドバイスを頭の中に取り入れてみることにした。
意識はしてみたけれど、実際、元に戻るのは難しくて。
結愛への気持ちを意識しすぎて、話すチャンスはあるのに、なかなか自分から話しかけることも出来なくて、目が合うとすぐにそらしてしまうし。
――どうしよう。
友達は一応いたけれど、恋の相談なんて出来る人はいなかった。
小さい頃は仲が良かった。
俺が彼女のことを “好き” だと意識するまでは。
意識するようになったのは、小学四年生の頃だったと思う。
うちは、両親が離婚していて、母さんとふたりで暮らしていた。母さんは毎日休む暇もなく働いていて、忙しそうで、遅くまで働く日も多かった。
結愛と俺の通う保育園が一緒だった繋がりで、母親同士の仲も良く、母さんが仕事で帰りが遅い日には結愛の家で一緒にご飯を食べさせてもらったりもしていた。
結愛が家族と楽しそうに話をしていると、突然心がズキンと痛くなる日があった。
なんだろう。今思えば、自分もこんな風に家族と沢山話をしたかったのかな?
家ではひとりでいることが多かったから。
その日はいつもよりも痛くて。バレないようにその気持ちを隠していたのだけど。
ご飯を食べ終えて、一緒にテレビゲームをしている時だった。
「大丈夫?」
突然結愛が眉を寄せ、なんともいえない表情で質問してきた。
「えっ? 何が?」
「なんか、いつもよりも元気の無い顔だったから」
気づかれないように隠していた気持ちに、唯一、結愛は気がついてくれた。
そしていきなり俺を抱きしめてきた。
「結愛はずっと、悠真の味方だからね!」
「えっ?」
「これね、私が寂しい時や泣きたい時、いつもお母さんが気がついてくれてね、こうしてくれるの」
胸が締め付けられて、鼓動が早くなる。
「あ、敵にやられる!」
このタイミングでゲームの敵が迫ってきて、操作していたキャラクターがやられそうになった。そんなことはどうでも良かったけれど、ドキドキした気持ちを悟られないように、彼女から離れた。それからゲームを再びやり始めた。
心臓の鼓動の速さはなかなか元に戻らなかった。
ゲームを終え、片付けを始める。
「さっきギュッてした時、元気になれた?」
ゲームソフトを片付けながら結愛は聞いてきた。
「う、うん」
俺は微妙に視線をはずす。
「良かった!」
彼女は、キラキラをまといながら可愛い笑顔で俺を見つめてきた。
――ドキッ!
ゲーム本体とコントローラーを持っていた俺は、思わずコントローラーをひとつ落としてしまった。
結愛に対しての気持ち、それが恋だと気がついたのはその時だったけれど、今思えば、もっと前から実は、好きだったのかも知れない。
――うん、好きだった。
結愛が人混みに紛れている時も、彼女だけが浮き出ているように見えて、すぐに見つけられたし、彼女が悲しい時には隣にいて寄り添いたくなったし、彼女が楽しそうにしている時は、俺も幸せだった。他の人に対しては冷たくて、そんな感情にはならないのに。
そして、独り占めしたいと常に思っていた。
今も――。
これからも当たり前に、仲良しのまま、ずっと一緒にいられるものだと思っていた。
けれど、結愛に対しての感情が恋なのだと強く意識してから、俺の態度のせいで、心の距離が少しずつ離れていった。
メールが来た時、怪しいとも思ったけれど、このままもっと離れてしまったら嫌だなって考えてもいたから、悩んだあげく、アドバイスを頭の中に取り入れてみることにした。
意識はしてみたけれど、実際、元に戻るのは難しくて。
結愛への気持ちを意識しすぎて、話すチャンスはあるのに、なかなか自分から話しかけることも出来なくて、目が合うとすぐにそらしてしまうし。
――どうしよう。
友達は一応いたけれど、恋の相談なんて出来る人はいなかった。