すべての世界で、キミのことが好き❤~告白相手を間違えた理由
『陸が犬の飼い主を探して、結愛にお願いをしてふたりの仲は急接近するんだけど、飼ってもいいのか、結愛は親に結局聞けなくて、彼女が俺に飼えないか聞いてくる。結局はうちで飼うことになる。犬の名前は“ マロン ” 』

 犬? マロン?

 そのメールの意味はすぐに分かる。

 教室で結愛たちがその犬の話をしていたから。メールで知らされてなければ、ただ俺の知らない話をして盛り上がっている、そんな風景だった。

 席は離れていたけど、結愛の声だけは特別に、はっきりと聞こえてくる。

 陸と話して、はしゃいでいる、聞きたくない声さえも。

 この犬の話が結愛と陸が仲良くなるきっかけだとメールの言葉があったから、どうしようか考えた。

 そんな中、放課後、結愛と陸がふたりっきりで下校しているのを見た。

 しかも、結愛の家の方向へ向かっている。

 素直に
 素直に――。

 俺は走って追いかけた。
 
 
 そのまま合流して、犬の名前を決めたり、一緒に買い物に行ったり、本来ならきっと、結愛と陸がふたりでやるようなことを俺も加わり三人でやった。

 ほんの少しの勇気で、目の前のことが変わるんだ。
 そんなことを実感した時だった。


< 40 / 131 >

この作品をシェア

pagetop