すべての世界で、キミのことが好き❤~告白相手を間違えた理由
 三人でベンチに並んで座る。

 それぞれが持ってきたペットボトルや水筒の飲み物を飲む。私は小さいペットボトルに家でつくったお茶を入れてきて、悠真と陸くんは水筒に何か飲み物を入れてきていた。

 マロン用に持ってきたお水を彼女にあげると、勢いよく飲んでいる。

 気持ちに余裕ができて、天気を感じる。

 今日の天気は“暑い! 時々フワリと吹いてくる風が気持ちイイ”って感じかな?

「夏休み、どこかに行くの?」
 
 陸くんに質問された。

「行かないかな?」
「行かねぇな」

 声が合わさる悠真と私。

 思わず悠真の方を見ると、彼と目が合う。

 彼、さっき散歩する前はどこかに行こうって話をしてたのに、今行かないって言った。私もその時、行く返事したのに、今、行かないって言っちゃったけれど。

「じゃあさ、海の近くに住んでる僕のばあちゃんの家に行かない?」

「俺はいかないかな?」

 すぐに悠真が答える。

「そっか、結愛ちゃんは? 距離とか電車の関係で、多分泊まりかな……出来れば、一週間ぐらい過ごせたらいいなぁって思ってる」

「陸くんのおばあちゃんの家? 海に行ったことがないし、なんか楽しそう!」

「楽しいよ! 水着持ってこれば、海の中にも入れるし、あそこの海は綺麗だよ!」

「行きたいな! お母さんに聞いてみる!」

「本当? 許可貰えるといいね! ばあちゃんも友達連れてきたら喜ぶと思う。ばあちゃん、すごく優しいんだ! 会わせたいなぁ」

「おばあちゃんに会いたい!」

 陸くんと私はふたりで会話が盛り上がる。

「あ、じゃあ、俺も行こうかな……」

 突然意見を変えた悠真。
 陸くんと私は思わず同時に彼を見る。

「お母さん、いいよって言ってくれるかな? 家族以外と泊まりとかしたことないから。凄く心配しそう」

「難しそうだったら、僕も一緒に頼んでみる?」

 陸くんが言いながら首をかしげる。

「いや、俺が一緒に頼む!」

 強い口調で悠真が言う。

 行きたいなぁ!
 お母さんから許可が貰えますように!

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