すべての世界で、キミのことが好き❤~告白相手を間違えた理由
 お昼ご飯の時間になった。
 おばあちゃんが素麺を準備してくれた。

「おいしー」

 食べていると、悠真が私のお皿にピンク色の素麺を乗せてきた。沢山の白い麺の中に数本だけ混ざっているやつ。

「これ、結愛の……」
「えっ? あぁ、ありがとう!」

 小さい頃、私は悠真と素麺を食べた時、ピンク色の素麺が食べたかったのに、悠真が食べて、泣いたことがある。

 もう泣かないのに。
 まだあの時の記憶、残っているんだなぁ。

 多めに準備してくれたんだけど、みんなお腹すいていて、全部ぺろりと食べた。

 食べた後はのんびり!
 
「海、泳ぎに行く?」

 うちわで自分をあおぎながら、陸くんが言う。
 
「私、みんなが泳いでいるの、見てようかな? 一応水着は持ってきたけれど、私、泳げなくて……」

 みんなに迷惑かけたくないしなぁ。

「ちょっと待ってて?」

 陸くんがリビングを出て、二階へ行く。しばらくすると、大きな浮き輪とボールを持ってきた。

「結愛ちゃん、これ使いな? 今膨らますね! 水の中で僕が結愛ちゃんの浮き輪のヒモを引っ張ってあげる!」

「いや、そこまでしてもらわなくても……」

「気をつかわないでさ、楽しく遊ぼ!」

「……うん。ありがとう」

 陸くんがにぎにぎしてふくらませるタイプの空気入れで、一生懸命浮き輪を膨らましている。

「すごく優しいよね、陸くん。ありがとう!」

 ふたりで見つめ合い微笑みあった。

「俺、やるよ!」

 ぼんやりしながら扇風機の風を全力で浴びていた悠真が、私たちが微笑みあっていた瞬間、突然動き出した。


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