すべての世界で、キミのことが好き❤~告白相手を間違えた理由
 ずっとふたりはこっちに気が付かない。
 俺らはただ離れた場所からふたりの様子を見ることしか出来なかった。

「ねぇ、俺らも、付き合う?」
「うん。……えっ?」
「俺と石田さん、付き合う?」

 石田さんがきょとんとした顔をしている。

「いいの?」

 俺は無言でうなずいた。

 陸もきっと、結愛のことが好きなんだ。
 普段から彼女にだけ、特別な表情をしている。

 結愛と陸は両思いなんだ。
 気がつかないふりをしていただけで、本当は気がついていた。

 俺が、別の人と付き合えば、結愛も俺のことなんて気にせずに、陸と気兼ねなく付き合えるはず。
 結愛、遠回りさせて、ごめん。

 好きな気持ちが石田さんに対して持てなくて、申し訳ないけれど。でも、付き合って日が経てばもしかして石田さんを好きになれるかも知れないし。

 現実から目をそらして、無理に良い方に考えようとしている自分がいる。でも、こうでもしないと、心が壊れそうで。

 ――よし、結愛に、報告しよう。

 石田さんと付き合うこと。未来の自分にも報告しよう。結局、何も変えられないってこと。

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