すべての世界で、キミのことが好き❤~告白相手を間違えた理由
 しばらくすると、結愛たちは並んで砂の上に座った。
 そのタイミングでふたりの近くまで歩いていく。

 実際に結愛の顔を見ると、石田さんと付き合うことになったなんて、なかなか言えない。

 というか、目が赤くて、泣きはらした後のような感じだった。

 どうしたんだろう。

 すごく心配になって、付き合った報告なんて、どうでもよくなった。理由を聞こうとした時だった。

「あのね、私たちね、付き合うことになったの」

 石田さんが早速ふたりに報告した。

 結愛は一瞬、人生の終わりのような表情をして動きが止まった。それから彼女の瞳から一気に涙が溢れてきた。

「えっ? 結愛、大丈夫?」

 石田さんが声をかけるも、結愛にはその声が届いてないみたいだった。泣きすぎて呼吸も乱れている。

「結愛、どうした?」

 指で結愛の涙を拭おうとした時、陸が俺の手をはね返した。

「僕たちも、付き合うから!」

 全く予想していなかった陸の言葉。

「はっ?」

「はっ?じゃないし。悠真、結愛ちゃんと付き合ってたんじゃねーの?」

「えっ? 結愛、誰にも内緒ねって……」

 俺は結愛を見た。結愛はうつむいている。

 あ、陸に、言ったんだ。

「どういう事?」

 石田さんが眉間にシワを寄せる。

 一瞬で、ぐちゃぐちゃになった。

 結愛と陸が付き合う。
 ふたりが付き合うのが正しいはずなのに。

 実際に聞くと、モヤモヤやイライラ、負の感情しか湧かない。



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