すべての世界で、キミのことが好き❤~告白相手を間違えた理由
 歩いていた結愛が振り返る。

「なんか、海、初めてだったから、もっとここにいたいなぁ、帰るのもったいないなぁって実は思っていたの。だから、ありがとね」

 弱々しく微笑みながら彼女は言う。

 俺が勝手に結愛の手を引っ張り、帰れなくしてしまったのに、お礼を言われた。

 再び前を向き、ちらちらと海を何度も見ながら歩く結愛。

「海、見ていく?」

 結愛の背中に話しかける。

「うん」

 彼女は海を見ながら答えた。

 海を見下ろせる高い場所に道路があり、並行に柵も人が落ちないように続いている。この辺りは柵越しに見下ろすと海の岩場が見える感じになっている。下りる場所が近くになくて、近くには行けない感じだったから柵越しに海を眺めた。

 さっきは感じなかったけど、今日も初日みたいに晴れていて、海が青くて輝き、とても綺麗だった。

 一言も話さずにふたりで海を眺めた。
 彼女となら無言で何時間でも過ごせられると思う。

 結愛とだから、居心地がいい。
 海を眺めている結愛の横顔を見る。
 
 ――俺、やっぱり、結愛が大好きだ。


 今伝えないで、いつ伝えるのだろう。

 よしっ! 伝えるぞ!

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