すべての世界で、キミのことが好き❤~告白相手を間違えた理由
 結愛と一緒に教室に入る。

 その時、ひそひそと話す女子の声が聞こえた。

「イケメン好きな綾野さん、相変わらずだね」
「一緒に登校してるよ」
「誰本命なんだろね」


 結愛の悪口だ。
 声の元を辿るよりも先に、結愛の顔色を確認した。

 今にも泣きそうな表情をしている。
 全然気にしてないよと思わせたいのだろう。それから無理して笑顔を作ろうとしていた。

 明らかに今の悪口が聞こえていた顔。 
その言葉はもちろんムカついたけど、俺のせいで言われていることに腹が立った。

「好きで一緒にいるんだからいいだろ!」

 怒鳴るように叫んだその言葉。
 その声に、自分自身が驚いた。

 騒いでいたクラスのみんなが静かになる。

「悠真?」

 結愛の目が見開いていた。

 いいんだこれで。
 精一杯、結愛のことを守るんだ。

 だって今まで、こっそりとしか守れなかったんだから。

 あの時も――。



「だって……」
「ねぇ……」

 コソコソと話していた女子二人組は、それ以上は何も言わなかった。

「悠真、ありがとう」

 俺にだけ聞こえるように呟いた結愛の顔は俺の言葉のせいなのか、うつむきながら赤く染まっていた。そして無理して笑顔をつくっていた。


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