公爵の娘と墓守りの青年
やっと会議は終わり、ウェルシールは公務室の机に突っ伏していた。
「……何だか、今日の会議で一ヶ月分の気力と体力を使った気がする……」
目の前に積まれている書類の山を見つめ、ウェルシールは呟いた。
「そうですね……。お疲れ様でした、ウェル様」
穏やかな笑みを浮かべ、エルンストはウェルシールが突っ伏している机にお茶を置く。カップから湯気が立ち、茶葉の柔らかい香りが鼻に届いた。
「本当にお疲れ様でした、ウェル様。まさか、ウェル様のご結婚の話で、トイウォース様が口を挟んでくるとは思いませんでしたねー」
のんびりと言いながら、イストはカップを口に運ぶ。
「そうですね。普段ならウェル様の話には全く見向きもしないですものね」
不思議そうに言い、エルンストはトレイを近くの小さな丸テーブルに置く。
「僕は正直なところ、結婚の話で会議をする方が疑問に思うよ」
カップを持って、お茶の柔らかい香りを楽しみながらウェルシールは言う。ゆっくりとカップを傾ける。
「それは仕方ないですね。ウェル様が決めないのですから」