公爵の娘と墓守りの青年
「も、申し訳ございません、トイウォース様」
先程の会議で自信たっぷりだった表情とは打って変わって、ひどく怯えた表情でワルトは青年――トイウォースに頭を下げる。
明らかにワルトの方が年齢が上のはずなのに、仕種や雰囲気はトイウォースの方が貫禄がある。
「……まぁ、いい。それより、ウィンベルク公爵の姪は見つかったのか?」
椅子にゆったりと座り、肘掛けに凭れながらトイウォースはワルトに聞く。
「いえ……まだ見つかっておりません。カエティスの都の生まれと聞いていましたので、都中を探しましたが見つかっておりません」
額から滴り落ちる汗を手拭き布で拭きながら、ワルトは説明した。
「……そうか。伝説の守護騎士と言われているカエティスの方はどうなっている?」
「は、はい。まだカエティスも見つかっておりません。カエティスに似た人物はいたのですが、生まれも年齢も違い、こちらも足踏み状態です」
ワルトは同じように説明し、ちらりとトイウォースを見た。