公爵の娘と墓守りの青年
まだ年も若く知性も優れているトイウォースは、従弟でこの国の若き国王ウェルシールと三歳離れている。
今年で二十三歳になるトイウォースと親子くらいの年の差があるのに、彼の中にある何かにワルトは怯えていた。
自分でもひどく滑稽なのは分かっているが、それでも目の前に座る青年はその年齢にはそぐわない何かを醸し出していた。

「ウェルシールよりも先にウィンベルク公爵の姪とカエティスを見つけろ。いいな?」

念を押すようにトイウォースはワルトに命令する。

「はっ、直ちに」

そのトイウォースの命令に、ワルトは恐縮しすぎて曲がっていた背を慌てて伸ばして返事をした。

「それと、カエティスの都の墓地だが、手中に収めたのか?」

「いえ。こちらもまだ……。術者が亡者を使ってはいるのですが、浄化の力を持つ墓守りのようで、まだ手中に収めるに至っておりません」

「そうか。まぁ、あの墓地の番をするのなら、その程度の力は必要だからな……」

小さく呟き、トイウォースは手を顎に置いた。

「トイウォース様、今、何と仰いましたでしょうか」

トイウォースの言葉が小声で聞き取れなかったワルトは怪訝な表情を浮かべ、問い掛けた。

「気にするな。カエティスの都の墓地にも引き続き、術者を使って亡者を放て。分かったのなら、行け」

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