公爵の娘と墓守りの青年



「……え? サイラードお兄様、今、何て言いました?」

眉を寄せて、リフィーアは目の前に立つ従兄に尋ねた。

「だから、最近、リフィが通ってる都の墓地には行くなって言ったんだよ」

真剣な面持ちで、サイラードはリフィーアに告げた。

「どうしてですか」

従兄の言葉にリフィーアは眉を寄せたまま問い掛ける。
相変わらず謎だらけのカイがいる墓地にちょうど行くところだったリフィーアに、サイラードが突然、自宅に入ってくるなり、開口一番そう告げてきたのだ。
理由を説明しないサイラードにリフィーアは内心、苛々していた。

「リフィは知らないだろうけど、あそこは夜になると墓荒らしが現れると噂が流れているんだ。だから、危ないから行っては駄目だ」

心配そうな表情でサイラードは問いにやっと答えた。
本当はもっと怖いものが現れるのだが、言うと止められるのは分かっているので、リフィーアは言わないでおいた。

「でも、私が行ってるのはいつも昼ですよ? 墓荒らしは夜でしょう?」

いつだったか、カイに似たようなことを言ったな、と思いながら、リフィーアは言い返した。

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