公爵の娘と墓守りの青年
「それとこれは関係ないよ。リフィは前公爵の娘で、私の大事な従妹なんだぞ。そんなリフィが大変な目に遭ったら……」

サイラードは悲しげに眉を八の字にして、リフィーアと同じ緑色の目を潤ませた。
『前の公爵の娘』は一言余計だが、自分のことを大事に思ってくれるサイラードにリフィーアは少しだけ心が揺らいだ。

「……お兄様が心配してくれるのはありがたいですけど、私、もうすぐ十七歳なんですよ? 成人の年齢になるんですよ」

胸の前でぎゅっと拳を作り、リフィーアはそう告げた。
両親もなく、一度、幼い頃に本当に大変なことに遭っているリフィーアを心配して言ってくれているのは十分分かっているのだが、もう少し離れた位置で見守って欲しい。
従兄のサイラードは昔から近い位置で心配し過ぎる。
過保護という言葉が当てはまるような従兄にリフィーアは困っていた。

(カイさんのように、大人な見守り方をお兄様もしてくれないかな……)

六歳離れているサイラードと、年齢は相変わらず不明だがきっと大人なカイを比べながら、リフィーアは小さく息を吐いた。

「確かに、もうすぐ成人だけど、リフィが本当に心配なんだ。十二年前と同じようなことになったら……」
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