公爵の娘と墓守りの青年
「あ、リフィ! 行くのは駄目だっ!」
声を張り上げてサイラードは言ったが、また一歩間に合わなかった。
「こうなったら、直接墓守りに言うしかないな」
残されたサイラードは、リフィーアの自宅の扉を合鍵で閉めながら、小さくこぼした。
従兄のサイラードから逃げるように自宅から飛び出したリフィーアは、足早に都の中央に位置する墓地へ向かっていた。
いつも用意をしている差し入れを両手で抱えて、リフィーアは歩いた。
墓地よりも奥に見える、都の端に立つ大きな聖堂の時計台をリフィーアは見上げた。
「いつ見ても大きいなぁ」
小さい頃から見慣れているが、やはり大きなことには変わりはなく、リフィーアは小さく感嘆の声を洩らした。
十二年前もこのように空まで届きそうなは大げさだが、とにかく大きな時計台を見上げながらリフィーアは歩き、頭から足の先まで黒い布を覆い被さった老人にぶつかった。
すると、その老人は驚いたように自分を見て、手を掴んできた。
そして、手を引っ張り、何処かへ向かおうと老人は歩き出した。
リフィーアは突然のことに驚き、声を上げた。
一緒にいたサイラードと、近くを通りかかった青年がリフィーアを老人から引き離してくれた。
声を張り上げてサイラードは言ったが、また一歩間に合わなかった。
「こうなったら、直接墓守りに言うしかないな」
残されたサイラードは、リフィーアの自宅の扉を合鍵で閉めながら、小さくこぼした。
従兄のサイラードから逃げるように自宅から飛び出したリフィーアは、足早に都の中央に位置する墓地へ向かっていた。
いつも用意をしている差し入れを両手で抱えて、リフィーアは歩いた。
墓地よりも奥に見える、都の端に立つ大きな聖堂の時計台をリフィーアは見上げた。
「いつ見ても大きいなぁ」
小さい頃から見慣れているが、やはり大きなことには変わりはなく、リフィーアは小さく感嘆の声を洩らした。
十二年前もこのように空まで届きそうなは大げさだが、とにかく大きな時計台を見上げながらリフィーアは歩き、頭から足の先まで黒い布を覆い被さった老人にぶつかった。
すると、その老人は驚いたように自分を見て、手を掴んできた。
そして、手を引っ張り、何処かへ向かおうと老人は歩き出した。
リフィーアは突然のことに驚き、声を上げた。
一緒にいたサイラードと、近くを通りかかった青年がリフィーアを老人から引き離してくれた。