公爵の娘と墓守りの青年
「!?」
目が合ってしまったリフィーアは驚き、身体がびくりと震えた。
生気のある顔を見たことで、以前、見た亡者とは違い、怪しげな連中は生きていることが分かった。よく見ると全員、この都の住民ではない見知らぬ男だった。
だが、目が虚ろで意志がないようにリフィーアには見えた。
目が合ってしまったことで、怪しげな連中が全員、リフィーアに近付く。
怖くて、足がすくみ、声も出ない。
どうしようかと考える暇もなく、前後の舗道をいつの間にか押さえられてしまい、墓地の外にも逃げることが出来ない。
リフィーアは震えながらも辺りを見回した。
唯一、逃げることが出来そうな場所をやっと見つけた。
木の蔓や葉の長い草に覆われた茂みなら、小柄な類に入る自分なら、逃げられるかもしれない。
怪しげな連中の手がリフィーアに伸びたと同時に、彼女は勢いよく茂みに飛び込み、駆けた。
そのまま、カイ達が住む小屋へと向かう。
息を切らしながら、リフィーアは振り返った。
蔓や草が邪魔なようだが、怪しげな連中も追い掛け、茂みを走っている。
「ついて来なくていいよ! どうして追い掛けて来るのよっ」
恨み言を吐き、リフィーアはもう限界に近いが少し走る速度を上げた。