公爵の娘と墓守りの青年
「駄目。俺が相手を止めてる間にビアンはリフィーアちゃんを小屋に連れて行ってもらうから」
「俺が小娘を連れて行くだと? 何故、俺が。相手を止めないで、倒せば早いだろ」
「ビアンはそれがあるから、駄目なんだって。亡者は会話が出来ないから浄化するしかないけど、人間は会話が出来るだろう? だから、話し合いが先」
近くの木に立て掛けていたシャベルを手に持ち、カイは答えた。
「話し合い? まどろっこしい。そんなことしないで、とっとと相手を倒して、食べれば都の連中に見つからないだろう」
「……だから、何で相手を食べようとするんだよ。それをしたらおしまいって、前から言ってるだろう? 分かったら、ビアン。行くよ」
急かすようにそう言いながら、カイは走った。
「おいっ、カエティス! 全く……仕方がない奴だ」
溜め息を吐き、ビアンは仕方なさそうにカイの後を追った。
墓場の最奥から出ると、目の前でリフィーアが見知らぬ男達に手刀を当てられ、倒れようとしていた。
「リフィーアちゃんっ!」
声を上げ、慌ててカイは駆け寄り、倒れようとしているリフィーアの上体を支える。