公爵の娘と墓守りの青年

「リフィーアちゃん!」

ぐったりとして気を失っているリフィーアに、カイは彼女の名を呼ぶ。だが、反応しない。

「気絶したようだな」

「うん……怪我はないみたいだけど……」

隣にやって来たビアンの言葉に頷き、カイはリフィーアに怪我がないか確認する。怪我がないことにほっと安堵の息を洩らす。

「――とにかく。早くリフィーアちゃんを小屋に連れて行……わっ」

隣に立つ相棒に話しながら、リフィーアを抱き上げようとしたカイは風を切るような音を耳にして、慌てて彼女を守りながら身を屈める。
リフィーアを守りながら、カイは目の端で風を切った原因を見る。
怪しげな連中の一人が刃の長いナイフを持っている。

「大丈夫か?」

「……うん。でも、いきなりナイフはないよなぁ」

少しむっとしながら、カイは呟いた。
その言葉に反応したのか、そうではないのか、怪しげな連中それぞれがナイフを手に持ち始める。

「良かったな。お前の期待に応えて、ナイフを持ってくれたみたいだぞ」

「全然、期待していないんだけど……。むしろ、面倒になっちゃったんだけど」

「だから、言っただろう? とっとと相手を倒して食べた方がいいと」
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