公爵の娘と墓守りの青年
困ったように言い、カイは軽い足取りで攻撃を躱し、立ち止まろうとした。
そこへ、怪しげな連中の内の一人のナイフがカイの左腕を掠めた。
「……っ!」
少し眉をひそめ、カイは連中との距離を取った。
「いたた……。本当に躊躇いがないなぁ」
困ったように呟き、カイはナイフが掠めた左腕を見た。
きれが裂かれ、二の腕に赤い線が浮かんでいる。
「相手は人だから、あんまり手も出せないし……うーん、困った」
大きな息を洩らし、カイは対処に悩んだ。
もちろん、ビアンが言っていたようなことをするつもりはない。
「方法といえば、気絶させるか、動けないようにさせるか、あとは話し合い、か……」
間合いを狭めて近付いてくる怪しげな連中達をカイはシャベル片手に見つめる。
「とりあえず、一番無理そうな話し合いからやってみようか」
長い息を洩らし、カイはシャベルの金属部分を地に突き刺し、怪しげな連中達を見据えた。
「あのさ、皆さん。そんな物騒な物を置いて、俺の話を聞いてくれないかな?」
爽やかな笑みを浮かべ、カイは怪しげな連中達に話し掛けた。
が、怪しげな連中達は耳を傾けることなく、カイに近付いてくる。