公爵の娘と墓守りの青年

「申し訳ないけど、強制的に家に帰ってもらうね。もちろん、解呪もしておくから。巻き込んでごめんね」

申し訳なさそうにカイは言い、白く光る右手を横に滑らせる。
カイの動きに反応して、怪しげな連中の足元で輝く白い光の紋様が彼等の全身を包む。
しばらくの間、光は輝き続けた。
輝きが収まると、怪しげな連中の姿は墓地になかった。

「……これでよし、と。いたた……」

眉を寄せてカイは自分の左腕を見た。
見ると、左の二の腕から血が流れていた。

「あれ。結構、深かったんだ」

右手で左の二の腕を押さえ、カイは辺りを見回した。人や亡者の気配はない。

「今のところは誰もいないし、小屋に戻っても大丈夫みたいだな。リフィーアちゃんの様子を見に行こうか」

左の二の腕から手を離し、シャベルを持ってカイは先程まで自分がいた墓地の最奥に目を向けた。
都の喧騒が時々聞こえる都寄りの墓地とは違い、声は最奥までは届かない。
とても静かな墓地の最奥をカイは見つめる。

「……今度は誰もお前の犠牲にはさせないよ」

しばらく見据え、カイは
ビアンとリフィーアがいる自分が住む小屋へ向かった。






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