公爵の娘と墓守りの青年

カイは静かな声で、リゼラードの言葉を承諾した。

(諦めないことって、どういう意味だろう? まるでカイさん、お父さんとお母さんが死ぬのを知ってるみたい……)

リフィーアは眉を寄せて、両親とカイの言葉に耳を傾ける。

「ありがとう……!」

リゼラードが声を震わせて礼を述べた。

「それと、この子の前には俺は出ないようにするよ。この子がこっちに来てしまうのはしょうがないけど」

(どういう意味だろう? よく分からないよ……)

カイの言葉に、リフィーアは更に眉を寄せた。

「ええ。ここから離れられないのは知ってるし、お願いをしてる身だもの。そこまでは言えないわ」

カイの言葉にフィオナが同意する。

「でも、カイ君。私達に何かあった時はリフィーアをお願いね」

「もちろん。約束したことはしっかり守るよ。だから、安心して」

穏やかに、優しくカイは言った。
いつもと変わらない、自分も知ってる安心させるようなカイの声音にリフィーアはもがくのをやめ、静かに聞き入る。

(……カイさんに聞かなくちゃ。お父さんとお母さんのこと。それと私のことも)

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