公爵の娘と墓守りの青年
慌ててリフィーアは言い、お辞儀をした。緩くウェーブのかかった肩までの長さの亜麻色の髪が揺れる。

「リフィーアちゃんか。俺はカエ……カイ。カイっていうんだ」

少しだけ言い淀み、男――カイは小さく笑った。

「カイさんっていうんですね。よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしく。さて、ご両親のお墓参りの邪魔してしまって申し訳ないから、俺達は家に帰るね」

「家って、何処にあるのですか?」

「すぐそこだよ。小屋って言われれば小屋なんだけど……」

苦笑しながら、カイは横へ指を差し示した。
リフィーアは指で差した方向へ向くと、小さな小屋が墓と木々の間に、よく見ないと分からないくらいひっそりと建っていた。

「いつもあそこにいるから、何かあったら呼んでね」

「はい。ありがとうございます」

手を小さく振って、カイはリフィーアに挨拶をして小屋へ歩いていった。ビアンも彼に続いて歩く。
カイとビアンの後ろ姿を見送り、リフィーアは両親の墓に近付いた。





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