公爵の娘と墓守りの青年

カイの手から現れた白い光はトイウォースを包んだ。
白い光に包まれたトイウォースから何かが弾ける音が聞こえた。
その白い光から逃げるように黒い煙が立ち込め、霞のように消える。

「……もしかして、浄化?」

白い光を見つめ、リフィーアは呟いた。
白い光は収まり、トイウォースは糸が切れた人形のように倒れる。それを痛みに耐えながら、カイが受け止め、支えきれなくなり自分も膝を地に付ける。

「隊長っ!」

我に返り、イストは慌ててカイを支える。
リフィーア達も慌てて駆け寄り、エルンストがカイから気を失っているトイウォースを受け取る。

「……あはは。流石にちょっと痛いかな。イスト君、ごめん。ちょっと寝るね……」

力のない笑みを浮かべ、カイは自分を支えてくれているイストに身を預け、気を失った。

「カイさんっ!」

声を張り上げ、リフィーアはカイの手に触れた。
血が足らないのか、手が少し冷たくなっている。
リフィーアは血の気が引いた気がした。

「カイっ?!」

「カ、カエティス!」

息を飲んだ声が、リフィーアの背後から聞こえた。
振り返るとエマイユとネレヴェーユが立っていた。
カイの様子を見たのか、二人の顔が青ざめている。

「エマイユさん、ネリーさん……」

泣きそうな顔でエマイユと、特にネレヴェーユを見つめ、リフィーアは二人の名を呼んだ。

「イスト、どういうこと? どうしてこんなことになってるの?」

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