公爵の娘と墓守りの青年

カイの様子が分かり、安心したウェルシールがエマイユに尋ねた。

「あぁ、そうだね。えーっと、何から話せばいいかな。とりあえず、ネレヴェーユ様とイスト、私、カイのことを話した方がいいかな?」

眠るカイと、ネレヴェーユ、イストの順でちらりと見て、エマイユは混乱した様子のウェルシール、リフィーア、エルンストに聞く。
三人が頷くのを認めて、エマイユは一呼吸置いて口を開いた。

「まず、ネレヴェーユ様は名前で分かると思うけど、この国を守護をしている女神様だよ。で、私はクウェール王国五代目国王のトイウォースの生まれ変わり。イストはカエティスの弟分だった騎士ミシェイルの生まれ変わり。カイはカエティス本人だよ」

分かりやすくエマイユは説明すると、ウェルシール達は驚いたまま、イストを見た。

「イスト兄さん、関係者だったのですか……?」

身近に有名な物語の関係者がいたことに、エルンストは戸惑うように兄を見遣る。
その横で同じくウェルシールも驚いてイストを見ている。

「――うん。黙っていてごめん。話すことが出来なかったんだ」

「父さんは知っているのですか?」

「いや、知らない。知っているのは亡くなられたウェル様のお父上だけだよ」

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