公爵の娘と墓守りの青年

眉を寄せて、エマイユは腕を組んだまま尋ねる。

「要は過去が見られたらいいのだろう? それならこの墓地に見られる場所がある」

「えっ?! そんな場所がここにあった? 私は知らないよ!」

瞠目し、エマイユは声を上げた。

「……もしかして、墓地の奥にある二つの扉のことですか?」

今まで静かにカイの手を握り、彼を看ていたネレヴェーユが口を開いた。

「流石、女神。そうだ。二つある扉の一つが過去を見ることが出来る」

「でも、その扉には番人がいたはずですが……。見ることが可能なのでしょうか?」

首を傾げ、ネレヴェーユは小さく眉を寄せた。

「行けば何とかなるだろう。俺は行くがお前達はどうする?」

「行きます!」

ビアンの問いに、同時にウェルシール、エルンスト、リフィーアが声を発した。

「お前はどうする、国王の生まれ変わり」

「もちろん、行くよ。ついでにカエティスの過去で気になることがあるから、それも見られたらいいんだけどな。ネレヴェーユ様はどうしますか?」

「私も行きます。私も気になることがありますから」

「イストはどうするの?」

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