公爵の娘と墓守りの青年
七章 騎士の過去
「ああ、暇だ。誰か、というかカエティス来ないかなぁ。暇潰しに遊びたいなぁー、カエティスで」
遊んだら殴られるかな、と呟きながら、水色の髪、銀色の目をした青年はぶらぶらと歩く。
大きな青い玉を先端に付けた杖を肩に掛け、二つある大きな扉の前で立ち止まる。
「……ちくしょー、暇だ」
低い声で唸り、青年は杖を振り回す。
その時、幾つかの足音が聞こえた。
「ん?」
杖を片手に、青年は足音が聞こえる方向を見る。
見ると、見知らぬ青年三人、少女が二人、その後ろに見知った女性と男性がこちらに向かって歩いている。
「あれ、ネレヴェーユちゃんにビアン?」
目を何度も瞬かせ、青年は杖を高く掲げ、左右に振る。
「お久し振りです。レグラス」
花のように微笑み、ネレヴェーユは挨拶をする。
「何でまたネレヴェーユちゃんとビアンがこんなとこに? カエティスはどうした?」
不思議そうにネレヴェーユに尋ね、青年――レグラスは目を瞬かせる。
目を伏せ、泣きそうな顔になるネレヴェーユの代わりに、エマイユが経緯を説明する。
「……何というか、あいつらしいっていうか、やっぱりやっちゃったというか……。まぁ、いいや。結界はまだ破れてないからカエティスは大丈夫だろうし。で、ここに来たのはあいつの過去が気になるとか?」