公爵の娘と墓守りの青年
「……いやぁ、そう言われても墓守りをして、カラスと食べ物で戦ってるだけだしなぁ……。他は何もないよ?」

「そんなことありません! とっても気になりますよ、カイさんが」

にっこりと笑顔でリフィーアは答えた。
言われたカイはリフィーアから少し目を逸らしつつ、困ったように頬を掻いた。

「ところで、質問に戻りますが、カイさんって何歳なんですか?」

「何歳に見える?」

目をリフィーアに戻し、穏やかに微笑してカイは問い返した。

「え? えーっと……二十歳くらい、ですか?」

顎に手を当て、リフィーアは呟くように答えた。

「二十歳くらいに見えるって。ビアン、嬉しいね」

本当に嬉しそうに笑い、カイは隣の狼を見た。
ビアンは長い尻尾を振るだけだった。

「嬉しいって……え? 実際は一体、何歳なんですか?!」

「うーん……そのくらいの歳ってことにしておこうかな。今日は」

「きょ、今日はって、歳が変わるんですか?」

「うん。気分で。カラス達に負けたら老人で、勝ったら子供という感じで」

にっこりと笑って、カイは大きく頷いた。
実際にカイはカラス達との食事攻防戦で、今日は勝ったらしく、彼の笑顔は言葉通りの子供のような笑顔だ。
だからといって、本当に年齢は変わらないのだが……。

(結局、何歳なのか分からないよ)

しっかりとカイにはぐらかされ、リフィーアは小さく息を吐いた。

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