公爵の娘と墓守りの青年
それから、すっかり日が落ちてしまい、気が付けば空は宵闇となっていた。
「カイさん、ごめんなさい。すっかり話し込んでしまって」
「こちらこそ。久々に人とたくさん話が出来たから、楽しかったよ。暗くなってきたから、墓地の外まで送るよ」
黒いマントを羽織り、カイはリフィーアに手を差し出した。
切り株に座っていたリフィーアは差し出されたカイの手を取り、立ち上がった。
その時だった。
低い呻き声が周囲に響いた。
人なのか何なのか見当もつかない低い呻き声に驚いて、リフィーアはカイの手を握ったまま固まる。
「あらら、もう来ちゃったかぁー……。今日は早いなぁ」
呻き声に驚きもせず、呆れた声でカイは呟いた。
「あのっ、この声、何ですかっ?!」
低い、不快感を煽る呻き声にリフィーアは眉を寄せる。正体の分からない声に不安もどんどん増していく。
「説明が難しいんだけど、分かりやすく言うと、昔は人だった者、かなぁ……」
後ろ頭を掻き、困ったようにカイは答えた。
「そ、それって……」
カイの言葉に、リフィーアは血の気が一気に引いた気がした。