公爵の娘と墓守りの青年
「そう言われても、私には無理ですから。両親のお墓に行きますので、これで失礼します、マティウス叔父様、サイラードお兄様」

「あっ、リフィ、まだ話が……!」

勢いよくお辞儀をして、リフィーアはサイラードが止める間もなく、足早に書斎を後にした。

「逃げちゃったなぁー」

のんびりとした口調で、マティウスは姪が出て行った扉を見つめて呟いた。

「……そうですね」

がっくりとうな垂れ、サイラードは小さく息を吐いた。

「次はもっと頑張ります」

「強く言い過ぎないようにな」

肩を落とす息子の背中を軽く叩き、マティウスは微笑し、椅子から立ち上がり窓越しに空を見上げた。













< 4 / 482 >

この作品をシェア

pagetop