公爵の娘と墓守りの青年
明るい茶色の髪の青年は悲しげに眉を八の字にしてカイに尋ねた。

「七年前に一度、こちらで会いましたよ?」

首を傾け、青年はカイを尚も見上げる。

「え、七年前……?」

青年の言葉に、カイはもう一度、記憶を辿った。
腕を組み、記憶の引き出しを開けるように、カイは小さく唸りながら、記憶を辿る。
そんなやり取りをしている二人を少し離れた場所で、リフィーアとビアンは窺う。

「あ、あの……思い出せませんか……?」

恐る恐る、青年はカイを見上げ、尋ねた。その表情はどことなく幼く見える。

「……うーん。もしかして……君、カエティスの墓をじっ〜と見ていた子?」

青年を少し見つめ、カイは自信無さげに呟いた。
そのカイの言葉に、悲しげに見上げていた顔が一気に明るくなった。

「はい! そうです! 良かった。覚えていてくれたのですね!」

嬉しさのあまり、泣き出しそうな表情で、青年はまたカイの手を握る。

「あー……やっぱりねー。いやぁ、最初は分からなかったよ。雰囲気変わったねー」

苦笑いをしながら、カイは自分の手を握り、上下に振る青年を見た。
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