公爵の娘と墓守りの青年
「人間として封じる場所を守る為に生きるか、神として封じる場所を守る為に生きるか。どちらか選べ、神の落とし子」
「隊長……」
「大丈夫だよ、ミシェイル」
穏やかに微笑み、カエティスはミシェイルの腕をぽんぽんと軽く叩く。
そして、まっすぐラインディルを見上げる。
「神様、俺はどちらも選べません」
カエティスの一言にラインディルは面喰らった。
「どちらも選ばない? 何故だ?」
「俺は、ネリーの力のお陰で今を生きてます。もう死んでいる身なのに、ネリーに聞いていないのに、俺が勝手に選ぶことは出来ません。それが理由です」
理由を聞いたラインディルは大きな声で笑った。
その笑いが収まるまで、カエティス達は呆然と神を見つめた。
「……どの生でも面白い答えを出すな、お前は。分かった。お前に封じる場所を守るのは任せよう。その後、どうするかはお前が決めろ、カエティス」
「ありがとうございます、神様」
安堵の色を滲ませ、カエティスは穏やかに微笑んだ。
「……礼はいい。それより、敬語はよせ。お前に敬語で話されると調子が狂う」
「え……はぁ。分かりまし……いやいや、分かったよ」
敬語のまま、頷こうとするカエティスを一睨みし、訂正する彼に満足するように首を何度も縦に動かした。