公爵の娘と墓守りの青年
「あ。じゃあ、俺に娘さんを下さい」
手を挙げて主張するカエティスにラインディルは面喰らった顔をした。
「……娘を解放するまで、娘を想うことが出来れば考えておこう」
からかうような笑みを浮かべ、ラインディルは告げる。
「えっ。それっていつまで……?」
眉を寄せて、カエティスは尋ねる。
「さぁな。一週間後かもしれないし、百年後、それ以上かもしれない」
「百年……。俺、長生き出来るかなぁ」
「娘の力を与えられたのもあるが、運命を変えられたこともあり、お前は神に近い存在になっている。問題なく長生きだ」
安心しろと告げるラインディルに、カエティスはこっそり複雑な表情を浮かべる。
「……そっか。ん? じゃあ、レグラスも?」
「私の孫だからな。長生きだ」
大きく頷き、カエティスにしたのと同じ、ラインディルはからかうような笑みをレグラスに向ける。
「……あー、やっぱり……」
嫌な予感を感じたレグラスは額に手を当て、天井を仰ぐ。
「――では、私はそろそろ帰るとしよう。また会おう、カエティス」
不敵な笑みを浮かべ、ラインディルは告げる。
「……あんまり会いたくないかも」
ぼそりと呟き、カエティスは溜め息を吐く。