公爵の娘と墓守りの青年
「そ、そうですか……? 最近、色々とあったし、僕も成人しましたから」

カイの言葉に照れながら、青年は少し俯く。
成人、という言葉に離れた場所で聞いていたリフィーアはひどく驚いた。
このクウェール王国では、十七歳が成人で、その年齢から大人と見なされる。
成人にしては青年の顔立ちは幼く見える。
青年は一体、何歳なのか。
リフィーアはとても気になった。
リフィーアに疑問に思われているとは知らない、既に成人という青年は、意を決したようにカイを見上げた。
そして、じっとカイを見つめ、口を開いた。

「あ、あのっ、墓守りさん。貴方はあの有名な守護騎士のカエティスですよね?!」

「へっ?」

再び、間の抜けた声を上げ、カイは立ち尽くした。

「……あのさ、今の話でどうやってカエティスと俺が繋がるかな?」

苦笑いを浮かべ、カイは青年を見た。
身長差もあって、上目遣いで青年はカイを見つめている。

「だって、そっくりではないですか。赤い髪に水色の目。髪も目もカエティスの都では珍しい色ではないですか」

青年の言葉に、リフィーアは大きく目を見開いた。
言われてみれば、確かにカエティスの都では、茶色の髪やリフィーアのように亜麻色の髪が主流で、カイの髪と目は珍しい色だ。特に目はそれぞれ異なっているのは珍しい。

「いやいや、この髪の色をした人ならたくさんいるよ。目も生まれ付きだし。それにカエティスの墓があるよ」
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