公爵の娘と墓守りの青年
出て来た彼女達は少しだけ俯いている。
「お? お帰りー。どうだった? 何か分かったことはあったかー?」
明るい声で、レグラスは出迎える。
「只今、戻りました、レグラス……」
少し潤んだ目で返し、ネレヴェーユは俯く。
「どうしたんだ、ネレヴェーユちゃん。暗い顔して」
「……貴方にもカエティスにも、辛い思いをさせてしまって……ごめんなさい」
「……は? いやいや、別に辛くも何ともないっていうか、俺もカエティスものんびり過ごしてただけだし、気にしなくてもいいって」
「でも……」
尚も言おうとするネレヴェーユの言葉を手で止めて、レグラスは穏やかに笑う。
「ネレヴェーユちゃんが気にすることじゃないって。俺もカエティスも自分で選んだことだから。ネレヴェーユちゃんに責任感じられちゃうと俺達の立場がないから」
「……ありがとうございます、レグラス」
「俺達の仲じゃん。ネレヴェーユちゃん」
にまっと白い歯を見せ、レグラスは杖で肩を叩く。
「……君達の立場と言えば、何か黙っていることがあるだろう、私に」
ぼそりと低い声で、エマイユが呟いた。
「ん? お嬢ちゃんに? 何かあったっけ?」
眉を寄せ、首を傾げて、レグラスは考え込む。