公爵の娘と墓守りの青年

「隊長のお陰で無事です。ありがとうございます」

「気にしなくていいよ。ところで、皆はどうしたんだい?」

普段なら不機嫌ながらも近くにいるビアンや、心配そうに見つめるネレヴェーユ、説教をするエマイユ達がいるはずなのに、誰もいない。

「皆さん、隊長やミシェイル達の過去を見に行きました」

「え? 俺達の過去? もしかして、レグラスのところ?」

カイの問いに、イストは頷いた。
複雑な表情をカイは浮かべる。あまり知られたくなかった。そんな表情だ。

「……そっか。じゃあ、そろそろ俺も覚悟を決める時かな……」

小さく呟き、カイはベッドから出る。

「隊長……?」

「イスト君。今からちょっと準備してくるよ。準備が終わったら、剣の稽古に付き合ってもらえないかな?」

穏やかに微笑み、カイは尋ねる。

「よ、喜んで! 俺の方からもよろしくお願いします!」

大きく頷き、イストは目を輝かせた。

「こちらこそ、よろしく。あ、ミシェイルの剣も取ってくるよ」

「え、あ、はい! そうか、ミシェイルが使ってた剣、預けてましたよね。隊長に」

「泥棒が出るから、ちゃんとした場所に置いてるけど、ちょっと遠いし、封印してるから時間かかるけど、ちょっと待っててね」



< 414 / 482 >

この作品をシェア

pagetop