公爵の娘と墓守りの青年
「はい!」
手をひらひらと振り、カイはタンスから服を取り出し、着替える。そして、新しい黒いマントを羽織り、小屋を出た。
小屋から出て、カイは墓地の奥へ向かう。
墓地の奥にある洞窟のような場所に立つレグラスを見つける。
相変わらず、暇だと呟く幼馴染みにカイは苦笑する。
「……元気そうだね、レグラス」
レグラスに近付き、カイは微笑する。
「俺は無茶しないから、そりゃねー。お前は相変わらず包帯だらけだな」
「頑丈だから、大丈夫だよ。それより、ネリー達はまだ中かい?」
「ああ。もう少しかかりそうだけどな。で、お前がここに来たってことは封印しちゃってるアレを取りに来たってとこか?」
杖を肩に引っ掛け、レグラスはカイを見る。
「うん。そろそろ俺も覚悟を決めないといけないみたいだから」
「……あぁ、最近、負の集合体とかの動きが活発化してるもんなぁ。この国の王様、変わったみたいだから余計に……。国が荒れるか、荒れないかは新しい王様とお前にかかってるもんな」
「俺、普通の墓守りなんだけど」
「五百年以上生きてる普通の墓守りがいるかって」