公爵の娘と墓守りの青年
放った魔力が柔らかい光となり、明滅を三度繰り返す。
光が消えると三振りの剣は地面に倒れていた。
それらをカイは拾い、鴨頭草の剣と赤眼の剣を腰に引っ掛け、翠宵の剣を左手に持つ。
そして、カイは部屋を出た。
「エマイユさん、待って下さいー!」
ずかずかと大股で前を行くエマイユに、リフィーアは呼び掛けた。
「君達はゆっくりでいいよ。私が急いでるだけだから」
歩調を緩めることなく、エマイユはリフィーアに告げる。
何かに怒っているのか、こちらには目も向けない。
「そ、そういう訳には、行きません、よぉ……」
肩で息をしながら、リフィーアはエマイユの背中に投げ掛ける。
リフィーアの言葉に何かを感じたのか、エマイユは立ち止まった。
「……やっぱり、君もウィンベルクの血筋だね。言い方は違うけど、クレハに似てる」
年相応ではない、大人びた笑みを浮かべ、エマイユはリフィーアを懐かしそうに見る。
「え、そうですか? あの過去を見た限りではそう思いませんでしたけど……」