公爵の娘と墓守りの青年

エマイユの言葉に眉を寄せて、リフィーアは首を傾げる。

「元夫の私が言ってるんだよ。本当に似てるよ。あー、私が男だったらリフィーアちゃんを口説くのに」

「ええっ?!」

エマイユの一言に、ウェルシールが驚きの声を上げる。

「ん? もしかしなくても、君、リフィーアちゃんが好きなの?」

ウェルシールの方向に顔を向け、エマイユはニヤリと笑みを浮かべる。
その問いにリフィーアとウェルシールの顔が一気に赤くなる。

「あの、えと、その……」

どう逃れようかとウェルシールは慌てるが、言葉が出てこない。
その様子を微笑ましくエルンストとトイウォース、ネレヴェーユが見つめ、人の姿のままのビアンは欠伸をする。

「そうか。頑張ってね。ウィンベルクの女の子は皆、気が強いから」

自分より背の高いウェルシールの肩に手を置き、エマイユは耳打ちする。

「何か困ったことがあったら、ウィンベルクの女の子と結婚した先輩の私に相談でも構わないよ。占い師でもあるし、当たるよ?」

「え……あ、はい。分かりました」

エマイユの言葉に困ったように笑みを浮かべ、ウェルシールは頷いた。
内心、相談するならカイにと思ったが、後が怖いので言わないでおいた。
そうこうしている内に、カイの住む小屋に着いた。
小屋から離れた場所で、金属を打ち合う音が聞こえた。



< 419 / 482 >

この作品をシェア

pagetop