公爵の娘と墓守りの青年
「カイさん、やっぱりもう起きてるんですか?!」
緑色の目を大きく開き、リフィーアは声を上げる。
「……のようだね。やれやれ。本当に無茶をする親友だなぁ。全く」
首を緩く振り、エマイユは息を吐く。
金属を打ち合う音が聞こえる方向へリフィーア達は歩く。
カイとビアンが住む小屋を通り過ぎ、更に奥へ進む。
少し開けた広場で青いオーラを放つ鴨頭草の剣を振るカイと、緑色のオーラを放つ剣を振るイストがいた。
「カイさん、凄い……」
ぽつりとリフィーアは感嘆の声を上げた。
剣の手合わせをしているようだが、素人のリフィーアの目から見てもイストの方が劣勢だ。
そのくらい、カイの剣技は圧倒的だった。そして、何より動きに無駄がなく、踊っているかのように軽やかで華麗だ。
「――今回はこの辺にしようか、イスト君。ありがとう」
「いえ、こちらこそありがとうございました! やっぱり、隊長は強いですね。俺、ついていくのがやっとでしたよ。またお願いします!」
「うん。またよろしくね。あと、皆、お帰り」
鴨頭草の剣を鞘に戻しながら、カイはにこやかにリフィーア達を迎える。
「あ、はい。えと、ただいま帰りました」