公爵の娘と墓守りの青年
カイが自分達に気付いていたことに驚きながら、リフィーアは返した。
が、すぐ表情を暗くしてリフィーアは俯いた。
「あ、そういえば、過去を見たんだっけ……?」
「そうだよ。で、君に聞きたいことがあるんだけどさぁ」
普段の声より低い、何かを問い詰めるような声でエマイユはカイに近付く。
「ん? 何だい? エマイユちゃん」
「……どうして、言わなかった。本当は私がここの墓地を守ることを」
「は?」
「何故、私にそのことを話さなかった! 何故、黙っていた! 私は話せない程、信用出来なかったのか?! 答えろ、カエティスっ!」
カイの胸倉を掴み、エマイユは声を荒げる。
「えー……っとね、エマイユちゃん。トーイも、エマイユちゃんも信用出来る人だし、何より本当に親友だと心の底から思ってるよ」
胸倉を掴まれているのに焦る様子もなく、カイは穏やかに笑う。
「話さなかったのは過去で言った通り、トーイはこの国に必要な人だからだよ」
自分の胸倉を掴むエマイユの手をそっと外し、カイは尚も笑う。