公爵の娘と墓守りの青年
「それを今からカエティスに聞こうと思ってるんだけど」
「多分、隊長に聞いても言わないと思うので、僭越ながら俺が言おうかと」
「は?」
イストの言葉にエマイユは目を丸くする。
何度も目を瞬かせ、小声で話すイストを見つめる。
小声で話す二人の様子をカイが不思議そうに見る。
「隊長がトーイ様に話さなかったのは、クレハ様が止めたからです」
「え……ちょ、ちょっとどういうことだよ、それ!」
声を上げ、エマイユはイストに詰め寄る。
「声が大きいですって!」
「ご、ごめんっ」
「と、とにかくですね。隊長はトーイ様に話そうとしていたんです。それをクレハ様が止めたんです。理由はトーイ様が焦ってしまうから、と」
「私が……?」
眉を寄せて、エマイユは理由を話せと言わんばかりにイストの顔を見上げる。
「はい。もし、神様の言う通りにトーイ様が墓守りをすると国のことが気になって焦って、結界が歪むから。あとはクレハ様が離れるから嫌だ、と」
「なっ……なっ……!」
イストの最後の言葉に、エマイユは一気に顔を赤くする。