公爵の娘と墓守りの青年
「いや、何も言ってないよ。でも、残念だけど、俺はカエティスの生まれ変わりじゃないよ」

そう言って、カイは申し訳なさそうに笑った。

「そ、そうですか……」

カイに否定され、青年は俯いた。
しばらくの間、青年は押し黙る。
これで納得してくれるだろうと思い、カイは誰にも気付かれないくらいの安堵の息を小さく漏らす。

「でも、僕は貴方がカエティスだと思うんです。だから……僕の話を聞いてもらえませんか……?」

上目遣いで青年は懇願するように言った。その声は憂いに満ちている。

「さっきも言ったように、カエティスじゃないけど……話を聞くだけならいいよ」

青年の真剣な表情に少し気圧され、カイは頷いた。
離れたところで聞いていたリフィーアも青年の真剣な表情が気になったのか、ビアンと共に少しだけ彼らに近付いた。
青年はまだリフィーアに気付いていない。
気付くどころか、一点だけ、カイだけを見ている。
伝説の守護騎士と同じ髪の色をしたカイを。

(言われてみれば似てるけど、本当にカイさんがカエティスなのかな)

リフィーアはカイと、その彼をじっと見つめる青年を見た。
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