公爵の娘と墓守りの青年
カイの説明にネレヴェーユは口に手を当てた。
「じゃ、じゃあ、私の力は貴方にはないの……?」
「うん。一ヶ月くらいはあったんだけどね。ネリーの力を持っておくと俺自身が危ないから預かるって、ラインディルが。どういう意味なのか俺には分からないけど」
「じゃあ、どうして、五百年も貴方は生きてるの?!」
「俺の過去を見たのなら知ってると思うけど、俺には二人の神の血が流れてる。ラインディルの話だと、その血がネリーの力で目覚めちゃったから、ほぼ神と同じくらい長生きになっちゃったみたいなんだ」
苦笑いを浮かべ、カイは頬を掻く。
「まぁ、ネリーと一緒に生きていけるのは俺は嬉しいけどね」
そう言って、カイはネレヴェーユの右手を持ち上げ、口付ける。
その行動にネレヴェーユは顔を一気に赤くする。
「さてと、俺も準備をしようかな」
「え? 何の準備をするの?」
「この長い戦いを終わらせる準備だよ。ネリー、すぐ戻るから小屋で待ってて」
「ええ。分かったわ」
頷くネレヴェーユに小さく笑みを溢しながら、カイはレグラスがいる墓地の奥にある洞窟のような場所へ向かって歩いていく。