公爵の娘と墓守りの青年
勢い良く扉を開け、リフィーアは部屋の中へ入る。
入ると、叔父のマティウスが呆然とこちらを見つめた。
「どうしたんだ? リフィーア」
書類を持つ手を止め、マティウスはリフィーアに笑みを向ける。
「あの……っ、叔父様……!」
「ん?」
少しだけ首を傾げ、笑みを浮かべたままマティウスはリフィーアの言葉を待つ。
その仕種がカイに少し似ていたことにリフィーアは気付いた。
(叔父様もカイさんに似てるよ……!)
やはり長く一緒にいると似るのか。
自分よりカイと付き合いが長い叔父にリフィーアは少し苦笑した。
そう感じたお陰か、緊張していたリフィーアは少しずつ落ち着くことが出来た。
リフィーアはゆっくり息を吸い込み、叔父と目線を合わせる。
「叔父様。私、ウィンベルク公爵を継ぎます」
父リゼラードと同じ緑色の目で、同じく緑色の目のマティウスをリフィーアは見つめ、告げる。
姪の言葉にマティウスは驚いたように目を何度も瞬かせた。
「……本当か? リフィーア。いいのか?」
「はいっ!」