公爵の娘と墓守りの青年

その書棚があった場所の壁に、白いオーラを放つ剣が立て掛けてあった。
それの鞘を掴み、マティウスはリフィーアに渡す。

「叔父様、これは……」

「ウィンベルクに代々伝わる剣だ。カエティス様が墓守りになり、三代目国王の魂と同化した負の集合体が封じられた後に、当時のウィンベルク公爵が当時のクウェール国王と一緒に作った剣だ。代々、ウィンベルク公爵当主に渡されているものだ」

両手で受け取り、リフィーアはじっと白い剣を見つめる。
剣はリフィーアを歓迎するかのように彼女の周りを包むように漂う。

「その剣の名は『白銀の鎮魂剣』という。カエティス様が持つ強制的に浄化する剣と違って、その剣はその名の通り魂を鎮め、還す剣だ。使いこなせた者は魂を肉体に戻すことも出来ると言われている。だからか知らないがその剣も一緒に狙われている」

「白銀の、鎮魂剣……」

小さく、剣の銘をリフィーアが言うと、応えるように白いオーラが動く。

「叔父様、私が持ってもいいのですか?」



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