公爵の娘と墓守りの青年
九章 誓い
「さて、五百年前の関係者が集まった」
椅子に深々と腰掛け、球状の透明な水に映るものを見つめ、男は白に近い水色の髪を掻き上げる。
「五代目クウェール国王とお前の義弟に五百年前の記憶を残し、ここまでお膳立てしてやったのだ。あとはお前次第だ……」
肘掛けに凭れ、白に近い水色の髪をした男――ラインディルは呟く。
白に近い水色の目は、球状の水に映るところどころに金色が混ざった赤い髪の青年の行動を興味深げに見ていた。
「カエティス、お前はどう終わらせる?」
朝を迎え、リフィーアは白銀の鎮魂剣を抱えて、叔父の家を出た。
公爵になると決めたリフィーアを従兄のサイラードが喜び、早速勉強の準備を始めた。
予想通りの従兄の行動に戦慄を覚え、リフィーアは逃げるように家を出た。
どのみち通らないといけない道なのだが、今はカイがいる墓地に行きたかった。
墓地に行かないといけない、そう感じたからだ。
墓地へ通じる門をくぐり、リフィーアはカイと相棒のビアンが住む小屋へと向かう。
そこにはカイの姿はなく、ビアン、ネレヴェーユ、エマイユ、トイウォースがいた。
「おはようございます。カイさんはいらっしゃらないのですか?」