公爵の娘と墓守りの青年
「おはよう、リフィーアちゃん。カエティスは墓地の奥へ行ったよ」
「え? 墓地の奥ですか? カイさん、大丈夫なのですか?」
エマイユの言葉にリフィーアは目を丸くした。
「毎日封印に綻びがないか確かめに行っているだけだ。問題ない」
「魔狼の言う通り、カエティスなら大丈夫。カエティスは封印の要ではあるけど、封印を解くにはクウェール王家、ウィンベルク公爵家それぞれの当主の血が必要だから。まぁ、万が一カエティスが封印を解こうとしても、解けない仕組みになってるから」
肩を竦め、エマイユは説明した。
「カエティスならすぐに戻って来るよ。それより、リフィーアちゃんが持ってるものって、白銀の鎮魂剣じゃないの」
リフィーアに近付き、彼女が抱えている白い剣をエマイユは覗き見る。
「あ、はい。そうです」
覗き込むエマイユに気付き、リフィーアは彼女が見やすいように剣を腰くらいの位置に下ろす。
「懐かしいなぁ。クレハと作った剣だよ。カエティスの強制的に浄化する鴨頭草の剣と対称的な剣が作りたくてね。出来上がるのに五年くらいかかったよ。ウィンベルク公爵家でちゃんと受け継いでくれたんだね」