公爵の娘と墓守りの青年
「ん? 臣下ということは君、もしかして、この国の王様……?」

確かめるようにカイは聞いた。

「はい、一応、国王です。戴冠式はまだ済んでいないですが」

小さく頷いて、ウェルシールははにかむ。
彼の頷きに、この場にいるカイもリフィーア、ビアンも大きく目を見開いた。

「えぇっ?!」

カイとリフィーアの声が合わさり、墓地にいたカラスや鳥が驚いて、一斉に飛び立つ。

「ウェル君、王様だったんだ。あ、じゃあ、言葉遣いも変えた方がいい……?」

「いえっ、カイさんはそのままでいいです!」

手と顔を左右に振り、ウェルシールは告げた。

「いやいや、俺は一介の墓守りなんだし、そういう訳にはいかないんだけど……本当にいいのかい?」

「本当にそのままでいいんです。僕は貴方と対等にお話がしたいんです」

「うーん、俺と対等にって言われてもなぁ……」

頬を掻き、カイはちらりとリフィーアとビアンを見た。その顔はとても困り果てている。
リフィーアもどう言えばいいのか分からず、苦笑いを浮かべるしか出来なかった。

「本当にそのままでいいですから。それで……僕の臣下になって頂けませんか?」

眉を八の字にして、ウェルシールは話を戻す。
じっとカイを見上げるその目は、懇願の色が強い。

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