公爵の娘と墓守りの青年
嬉しそうに微笑み、エマイユは白銀の鎮魂剣の鞘を撫でた。
それに反応して白銀の鎮魂剣から白いオーラがエマイユの周りを優しく漂う。
「……あの、ウェル様の、クウェール王家にはこういった剣はあるのですか?」
ふと疑問に思い、リフィーアはそのまま疑問を尋ねてみた。
リフィーアの問いに、エマイユは目を何度か瞬かせ、ニヤリと笑った。
「クウェール王家に? 王家には」
「――指輪があります」
エマイユの言葉を接いで、トイウォースが答えた。
「あ、こらこら、ちょっと! せっかく私が答えようと思ったのに」
「申し訳ありません。ウェルの代わりにウィンベルク公爵のお嬢さんに説明がしたくて……」
恐縮そうにトイウォースはエマイユに謝る。
「そ、そう。こっちこそごめん。えーっと、リフィーアちゃん。とにかく、クウェール王家には指輪が伝わってるよ」
「指輪、ですか?」
「ええ。クウェール王家の当主は代々狙われていますので、肌身離さず身に付けることが出来る指輪を受け継いでいます」