公爵の娘と墓守りの青年

嬉しそうに微笑み、エマイユは白銀の鎮魂剣の鞘を撫でた。
それに反応して白銀の鎮魂剣から白いオーラがエマイユの周りを優しく漂う。

「……あの、ウェル様の、クウェール王家にはこういった剣はあるのですか?」

ふと疑問に思い、リフィーアはそのまま疑問を尋ねてみた。
リフィーアの問いに、エマイユは目を何度か瞬かせ、ニヤリと笑った。

「クウェール王家に? 王家には」

「――指輪があります」

エマイユの言葉を接いで、トイウォースが答えた。

「あ、こらこら、ちょっと! せっかく私が答えようと思ったのに」

「申し訳ありません。ウェルの代わりにウィンベルク公爵のお嬢さんに説明がしたくて……」

恐縮そうにトイウォースはエマイユに謝る。

「そ、そう。こっちこそごめん。えーっと、リフィーアちゃん。とにかく、クウェール王家には指輪が伝わってるよ」

「指輪、ですか?」

「ええ。クウェール王家の当主は代々狙われていますので、肌身離さず身に付けることが出来る指輪を受け継いでいます」



< 450 / 482 >

この作品をシェア

pagetop