公爵の娘と墓守りの青年
「その指輪はカエティスとやり取りが出来るように、私とカエティスで作ったものだよ。ただ、国王にならない限り、受け継ぐことが出来ないけどね」
エマイユとトイウォースが交互に丁寧にリフィーアに説明する。
それを感心したようにネレヴェーユは静かに見つめる。
「えっ、じゃあ、ウェル様も持ってるのですか?」
「――いえ、僕はまだ持ってないです」
「ウェル様?!」
都へ通じる門の方角からウェルシールの声が聞こえ、リフィーアは驚いたように振り返った。
穏やかな笑みを浮かべたウェルシールと、イストとエルンストの兄弟が立っていた。
「おはようございます、皆さん。あの、カイさんは?」
「おはよう、ウェルシール。カエティスは墓地の奥へ行ったよ」
エマイユが説明すると、ウェルシールは眉を寄せた。
「さっきリフィーアちゃんにも言ったけど、カエティスなら墓地の奥に言っても大丈夫だから。ウェルシール、そんな顔しない!」
「でも……」
「あのね、ウェルシール。カエティスは封印の要ではあるけど、カエティスが封印を解こうとしても、解けない仕組みになってる。それにカエティスがこの墓地に前世の私の祖父を封じたのは理由があるんだよ」
「あの、どんな理由ですか?」
不安げに話を聞いていたリフィーアが首を傾げながら尋ねる。